宮崎市街地を流れる小松川という小さな川があります。
平和台方面に端を発し、祇園、和知川原、大工、松橋と大淀川左岸の堤防の街側を大淀川に沿うように流れ、宮崎市役所の上流で大淀川に流れ込みます。
昔は汚い川でした。街の汚れた水が流れ込み、悪臭を放っていた時期もありました。
今は小さいけれどきれいな川になっています。
しかしもともとは大きな川だったようです。
色々調べるうちに、小松川について書いた本に出会いました。
田代 学著 「地図から見た宮崎市街成立史」
という分厚い本です。平成8年発行の本です。
その中に小松川について書いたところがありますので引用させてもらいます。
「現在の大工町は国道10号線にその南側が大工1~3丁目、そして相対して北側が大橋1~3丁目に分けられた東西に長い町となっている。
しかし本来の大工町はこの地図(略)のように南北に長い町であり、現在の国道10号線以北をも含む字名であった。
藩政時代には小松川を千石船が上り、船の発着場が宮崎営林署の近くにあり、その周りに、米蔵が立ち並ぶなど、大工町はかなりの繁栄を続けた町だったという。また建設省工事事務所付近には千石船を造る造船所があり、その船大工の家が点在していたために大工町になったといわれているのである。」
このように小松川は大きな川だったのですが、宮崎市の市街化に伴い縮小され、コンクリートで固められてしまいました。
しかしそれにも関わらず、今では水も澄んで、植物が生えています。
なんとそこに全国的にも絶滅の可能性の高いタコノアシが生えていることを教えてもらいました。
う~ん、タコノアシ君生き残っていたのですね。しぶとい。
蛸の足に見えます。秋にはこれが赤くなってゆでだこになります。面白い。
ジュズダマも生えています。
植物が川底に生えることによってより水も浄化され、何より殺伐とした市街地の中で人々の心を和ませてくれます。大きな鯉も泳いでいますし、アメンボウも元気にしていました。
頑張れ小松川。
なお、引用した田代学さんの
「地図から見た宮崎市街成立史」
はとても面白い本です。
宮崎市の成り立ちがよく分かります。とてもしっかり資料が集められています。
もう1冊同氏の著書に
「消えた赤江川~大淀川界隈新風土記」
という本があります。これもとても面白いです。貴重な歴史書です。うちには両方とも揃っています。
最近は大学生の孫が時々取り出して読んでいます。