小雨が煙る中、田んぼに行ってみました。
田んぼではもう稲穂が垂れている所があると思えば、まだ植えたばかりの田んぼもありました。
少しだけ稲が育った田んぼの端にヒクイナがいました。
左の草の方をずっと向いていると思ったら、草の中に真っ黒な頭。
真っ黒なものが草をかき分けて出てきました。真っ黒です。ヒクイナの赤ちゃん。
もう1羽。
ところが急に草の方に戻ります。
畔の方に上がってしまいました。足が長いこと。
親も上がってしまいました。
なぜかと思って右を見ると、いつの間にかカルガモが来てヒクイナ親子が隠れた方をじっと見ているではありませんか。
だから戻ったのですね。
ヒナは3羽草の中で動いていました。
ところでヒクイナのヒナは我が家でしばらく育てたことがあります。
随分昔の話です。保護されたのを育てる人がいなくてうちに持ち込まれました。
最初このくらい小さくて育つかどうか心配しましたが、魚をすり潰して食べさせたりしたら元気になりました。
2週間くらいでずいぶん大きくなりました。足が大きい。
うちでは「くろすけ」と呼んでいました。
元気になったので預けた人に戻しました。田んぼに放したそうです。
そのころ、うちは「保護した鳥の持ち込み所」になっていました。
最初、車にはねられたヨシゴイが持ち込まれました。ヨシゴイは床の間を自分の場所と思って、そこの置物のように陣取っていました。
それを元気にして野に放したのが新聞に載ってから、困った人たちがいろいろの鳥を持ち込みました。妻は断れなくて全部引き受けました。
ある時は警察署の落し物係の女の子がササゴイを抱えてやってきたそうです。
「こんなのが落し物で届いたのですけど・・・」と言って。
落し物・・・夜夫婦で大笑い。
そのササゴイも元気になったところで川原に放しました。
ヒクイナ、ヨシゴイ、ササゴイのほか思い出すだけでも、シロハラミズナギドリ、アマツバメ、アオゲラ、ヤマシギ、アカエリヒレアシシギ、ヒヨドリ、スズメ・・・・。
部屋の段ボールの中や勝手口のたたきなどで育てました。元気になってくると部屋の中を歩きまわったり飛び回ったり。
動物病院より小鳥屋さんの方が詳しいと言って、近くの小鳥屋さんにいろいろ教えてもらっていました。
水鳥は、糞が水っぽくて部屋が糞だらけになって困りました。いつも掃除が大変でした。
それと思うように外出できないと妻が嘆いておりました。小さい子や弱った子にはしょっちゅう餌をやらなければいけないので。
一番かわいかったのはアマツバメでした。小さい顔なのに猛禽の顔でした。タンスと壁の隙間に入り込んで寝ていました。
このヒクイナのクロスケもそのころのことでした。可愛いけど足が大きすぎ。
おっとりして静かな子でした。