宮崎県西部に小林市という所があります。
そこに住んでいる友人を訪問した後、山手の方に車を走らせました。
初めて通る道路でほとんど車が通りません。そこにこんな看板が出てました。
「永久井野(ながくいの)かくれ念仏洞」の入り口の看板でした。
安土桃山時代から江戸時代のことです。
島津藩は真宗(浄土真宗・一向宗)を禁止しておりました。
それは全国で多発した一向一揆を受けて、島津藩内でも一揆がおきるのを恐れたためだと思います。
信者は捕まえられて牢に入れられたり、刑を科されたりしていました。
キリスト教弾圧と同じ宗教弾圧です。
島津藩だった小林の人たちも表立って信仰できません。
しかし、当時の貧しく苦しい生活の中で、「南無阿弥陀仏」と唱えるだけで、誰もが阿弥陀仏のおられるお浄土に生まれ変わることができるという信仰は心の救いでした。
それで、山の中の洞穴を見つけて、そこで「かくれて念仏」を唱える集会をもっていました。それがかくれ念仏です。
入り口にあった絵入りの看板です。
説明文のところを拡大してみました。
絵もそれぞれ拡大しました。
多分こんな服装だったのでしょう。
入り口から清流の流れる川の脇を上流に進みます。
少し崖を登ったところに入り口がありました。
人が腰をかがめてやっと通れるくらいの入り口です。
下の写真は、少し下りた所から入り口を見たところです。入り口は狭いですが、階段を下りるにしたがって広くなっています。
下り切った広い空間が、集まってお祈りしたところです。
祭壇が設けられています。
50人くらいは座れる広さです。うまい具合に平らになっていますが、もともと平らだったのか、それとも当時の人が削ったのか分かりません。
洞の中は真っ暗。スマホの懐中電灯で照らして、カメラのフラッシュを焚きました。
その後、懐中電灯を消してみました。もちろん漆黒の闇。
その中に一人佇んで往時をしのびつつ、南無阿弥陀仏を唱えました。
昔の人たちの数限りない念仏、そしてその人たちの思いや願い、今は全て「無」になってしまいました。
だけどなんだか涙がこぼれました。