シオミイカリソウ  島野浦を1回訪ねてみてください。

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宮崎県の海岸はのっぺらぼうです。殆どがいわゆるリアス式海岸ではないのですが、県北部の延岡方面は少し出っ張りがあります。

そしてそこには島があります。それも島の人たちが生き生きと活動している島です。島野浦という島です。浦野島なら島みたいな名前だったのですが。

ところ不思議なことに、町名は島浦町です。野がありません。

だけど私たちは島野浦。島の人たちも島野浦。

 

延岡市浦城港から高速艇で10分。とても近いです。フェリーも走っていて、合わせると1時間に1本以上が出ています。

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フェリーには大型トラックの冷凍車が乗るそうです。というのは、島野浦はカンパチなどの養殖がとても盛んなのです。もちろんほかの漁も盛んです。今はサバが大量に水揚げされているということでした。冷凍車で都会へ運ぶのでしょう。

 

その島野浦の山にシオミイカリソウが咲き始めたと友人に教えてもらいました。

噂には聞いていましたが、まだ見たことがありませんので行ってきました。

高速艇を下りたら港町。

山際までぎっしり家が建っています。いかにも漁師町。人口は千人くらい。

 

その後ろの山に登ったらシオミイカリソウがあるらしいですが、急峻な崖で、どこから登ろうかと思って港のおじいさんに聞いてみました。親切にも島野浦のパンフレットを持ってきて登り方を教えてくださいました。そして私が登って行くのを見ていて「そっちじゃないよ、こっちぃ」と大声で叫んでくれるではありませんか。若いころは漁師だったのだろうな、色黒でたくましそうなおじいさん。

 

急な崖の小道をくねくねを登って行って、言われるままに三十三観音様の石仏のある道に辿り着きました。千手観音様に手を合わせました。振り返ると港町。

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その観音様巡りのコースを歩けば、シオミイカリソウにも会えるということでしたが、本当にそうでした。道端に咲いていました。

純白の花が、細い幹から垂れています。イカリソウ。花弁の4枚が細い管状にになっていて、それが船のいかりに見えます。だから錨草。

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葉がとても柔いです。

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あちらにもこちらにも。

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トビの羽とシオミイカリソウ。落としたばっかりの新しい羽。

トビがとても多いです。港の魚狙いでしょうか。

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観音様巡りの道は、歩きやすいように草が刈ってあります。誰かが頑張って整備してくれたおかげでゆっくり歩けます。ありがたい。

シオミイカリソウは最初少なかったけど、歩くにつれて次第に増えました。道端には次々に。林の中にもあります。ちょうど満開の時期に来合わせたようです。

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随分長い道を歩きました。所々で観音様に会いました。下の観音様の前の花活けの間にも1輪咲いています。

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昼になったので、下り道で持ってきた弁当を広げます。港の見える所の木の切り株に腰かけて。

私はどうして今ここにいるのだろう。

 

港が見渡せます。この港は高速艇と漁船の港。

フェリーは山の後ろ側に岸壁が整備されているようです。

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その下り道の急な斜面には、今は荒れていますが畑の跡です。

今年は植えるのかどうかわかりません。後継ぎがなくてもう放置されているのかもしれません。だけどつい最近まで畑だったようです。

私が1番感じたことは、その畑の狭さです。なんといっても畑のできるような斜面ではない急な斜面に、石を積んで畑が作ってあるのです。畑の幅は3m位しかありません。長さは2.、30m。それが段々畑のようにずっと上まであるのです。

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この畑を作る作業がどんなに大変だっか、想像を超えています。夫婦で力を合わせて斜面を削り、石を積んだのでしょう。そして自分たちの食べる野菜を植えたのでしょう。

その畑には今でも水をためるためのいろいろのものが置いてあります。水のたまりそうなものなら何でも。廃物利用です。斜面だから雨が降ってもすぐ乾いてしまうから雨水をためておくためのものです。

私がその畑に目が向くのは、私の家も私が小学校に上がるまでは農家で、畑も少なく父母が働きづめに働いていた姿を見ていたからでしょうか。

 

山を下りて港に行きました。高速艇に乗るまでの間散歩しました。またそこの街並みがなんとも懐かしい風景でした。港町だけあって家を建てるスペースが少なく、家が密集しているのです。路地が狭いのです。もちろん車も通らないような路地が続いています。なんとも私の感傷をそそります。

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島野浦はさびれた港町ではありませんでした。

船のエンジンの音。水揚げする人々の声。話す人の声の大きいこと。

想像以上に人が多く、水産業で賑わっていました。

小学生や中学生と行き交う度に元気よく挨拶してくれました。

島野浦にぜひ訪ねって行ってほしいです。

というのは、私に道を教えてくださったおじいさんは、私に島野浦西国三十三観音巡りマップを下さいました。

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そして、またどうぞ友達を連れて来てくださいと言っておられました。

たくさんの人に来てほしいみたいです。

シオミイカリソウ目的でなくても、観音様巡り目的でなくても、一度行ってみるだけでもいいところです。