キバラガラ

森の中をゆっくり歩きました。

真冬の寒い天気の後の、春のように暖かい日のことです。

一回りして帰りがけ、静まり返った森の中から小鳥の声。

小鳥の混群が近づいて来たのです。

歩みを止めて声のする方を見上げました。

ジュリ、ジュリ、ジュリ。

最初に目についたのは尻尾の長いエナガでした。

10羽以上がぴょんぴょん木の枝の間を飛び回っていました。

そして続いてやってきたのはメジロの10羽以上。

チー、チー、チー。

これもせわしげで一時もじっとしていません。

そしてそのメジロの声に交じってシジュウカラの声?

ツイーツイー、ツイーツイー。

ヤマガラかもしれないなと思って双眼鏡でのぞくと・・・お腹が黄色い。

黄色い腹…黄腹…キバラガラでした。

顔の黒いオスと顔の黄色っぽいメス。ペアのようです。

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この写真が撮れたほうは顔が黒っぽいので、キバラガラのオスです。

もう1羽のメスのほうは写真が間に合いませんでした。

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そしてあっという間に全員がいなくなって、元の静かな森になってしまいました。 

 

キバラガラを最初に知ったのは2009年11月のことですから11年前のことです。

福岡県の海岸林での写真を送ってもらいました。

その時、キバラガラは将来日本でも定着するだろうと予言する人がいました。

宮崎では2012年11月最初に見られました。

そして、その時以来宮崎では同じ林で毎年のように見られています。

予言が当たって留鳥化している可能性が高いと思います。

というのがこの日、私はキバラガラ夫婦のおしゃべりを聞いてしまったのです。

「あなた、毎年中国に帰らなくてよくて助かるわ」

「そうだね。中国は遠いし、途中の海の上が危険だからなあ。ここは暖かいし、食べるものはあるし、ここに永住するのが一番だね」

「そうね」

そして飛んで行ったのでした。

終わ~り