山道を登っていたら、道路脇に炭焼き小屋の跡のあるのを見つけました。
私が子供のころは、炭焼きが盛んでした。
だからとても懐かしいのです。
炭焼き窯の入り口。ここから木を入れて積み上げます。
そしてこの入り口に薪を積んで燃やし、蒸し焼きにします。
2、3日燃やし続けなければなりません。
そして出来た炭は町に運びます。大変な苦労です。
今、炭焼き窯は役目を終えて静かに休んでいます。
その労を慰めるように窯の入り口に1本のアザミの花。
昔の集落。その車は通れない山道を歩いて下っていた時、一人の老人が両手に杖を突いて上がって来ました。ゆっくりした足取り。挨拶すると立ち止まってにこやかに話し始めました。
「この付近には5軒の家があったが今はだれも住んでいない。この付近は山の傾斜がきついが、それでも畑を作らなければならず、皆石垣を積んで狭い畑を作った。そして野菜やサツマイモなどを植えた。稼ぐのは炭焼きだった。炭を焼いて、街に売りに行っていた。運ぶのはリヤカーだった。ここは山の上だから、坂道を下るわけだが、楽そうだけど下り道も大変だった。自分は学校を出たら東京に働きに出た。定年まで働いて年金が出るようになったから帰ってきて、この近くの町に住んでいる。ここの自分の家は住めそうにはない。ときどきこんなにして家を見に来るのが楽しみだ。自分の育ったところが一番だ」