5月5日は端午の節句です。
旧薩摩藩の地域は、端午の節句にはアクマキを食べる習慣があります。今でもそうです。
宮崎県もその南西部が旧薩摩藩の時代がありましたから、鹿児島と同じようにこの時期にはアクマキを作ります。そしてお店にはたくさん並んでいます。
アクマキのことをチマキという人がいますが、私は本当のチマキを食べたことがありません。
5月3日、お隣から手作りのアクマキをいただきました。
アクマキとは、漢字で書くと「灰汁巻」です。
孟宗竹の竹の皮で巻いてあります。そして中身に特徴があります。
鹿児島育ちの私は、小さいころ我が家でも作っていましたから作り方を覚えています。
作り方は、もち米を灰汁に一晩漬けます。するとお米が黄色く色づきます。
それをあくる朝竹の皮に包んでひもで結びます。そして台所のかまどに大きな羽釜を置いて、少し灰汁を加えたお湯で数時間煮るのです。灰汁のにおいが立ち込めます。
灰汁は木を燃やした灰を使います。昔はかまども囲炉裏も風呂も木を燃やしていましたから、木の灰はいくらでもありました。この時だけは上等の大きな木を燃やして灰を作っていました。
灰を布の上に置いて、上から熱いお湯をかけると下に灰汁がたまりましす。灰の汁です。
アクマキ作りは年によって出来不出来があって、出来上がったアクマキを開いた時の父と母の顔で、その年のアクマキの出来が分かります。
米粒がたくさん残っていて白っぽいと煮足りないし、あまりにも米粒が見えず、黒っぽ過ぎると煮すぎなのです。少し米粒があるくらいが私は好きなのですが、最近は煮過ぎが多いように感じます。
頂いたアクマキを開きました。餅色になっていてべとべとくっつきます。手では触れません。
この開いたアクマキをどのようにして切るか。
べとべとしているので包丁で切るのは不向きです。
薩摩伝統の古式ゆかしい方法は、糸をこのように両方から引っ張って切るのです。簡単に切れます。
今でもこんな切り方する人がいるのかどうか知りませんけど。
うちの子供たちも、お箸で強引に切っていますから。
味は少し苦みのあるほうが懐かしいです。
食べ方は、最近はきな粉と砂糖を混ぜたものを付けて食べます。
砂糖だけでも美味しいです。
また昔の話ですが、昔は砂糖が貴重品なので、醤油をつけて食べていました。
今それをやってみますが、懐かしいというだけでおいしくありません。貧しい時代の話です。
竹の皮のことは、この前「タケノコ林」のところで書きました。
その時の孟宗竹の育ち過ぎたタケノコの写真。
この竹の皮が自然に落ちますが、今年のアクマキ作りには今年の竹の皮は使いません。
それを保存しておいて、次の年使います。使う時はこの皮も一晩水に漬けると柔くなり包みやすいです。
今ではこのように店で売っています。
お隣からいただいたアクマキは、端午の節句の日を待たずにさっそくいただきました。
懐かしい味!美味しい!
ここまで書いて終わりの予定でしたが、今日5月4日、神戸に遊びに行っていた息子家族が帰ってきて、お土産の一つがチマキでした。頼んだわけではなく偶然でびっくりです。時季物なのでしょうね。
私は意識してチマキを食べるのは初めてです。
ササの葉に包んであります。どうもこの派手な紐はその店の商売のようです。
紐は普通はイグサなどのようです。
それで中身は白い団子。米の粉のだんご。
これはあずきのあんこが入っていましたが、普通あんこは入っていないそうです。食べたら柏餅と同じように感じました。
分かったことはアクマキとチマキは全く違うということです。作り方も味も全然違います。
今年はおかげさまでアクマキとチマキの違いが分かりました。
うーん、それぞれに大好きです。