すごく奇妙な植物です。これは花です。
まるでエイリアン。
花全体の写真です。土からこのように直接出てきています。茎の高さは3センチ位。
とても小さいのです。9月末のことでした。
いったいどんなんところに生えているかというと、森の中の落葉(おちば)の中です。
下の写真ちょうど中央にあるのですが分かりますか。
そうなのです。連れて行ってもらって「ほらそこ」と指さされても分からなかったのですから。
拡大してみます。真中の三つのラッパ型のもの。落葉と同じような色。落葉より小さい。
これがクロヤツシロランです。
クロヤツシロランという植物は、菌従属栄養植物だそうです。
どういうことかというと、光合成をやめたから葉がありません。栄養は地下でキノコの菌糸などを捕っているのだそうです。
光合成しないから光が必要ありません。だからほとんどを地中で過ごし、花が咲くころほんの一時、地上に現れます。そして実をつけます。
私はこの花にはとても深い思いがあります。
今回、友達に連れて行ってもらって、花を初めて見ることができたのですが、随分前の2010年12月のこと、私がよく行く森で下のような果実を見つけました。
クロヤツシロランに違いないと思いました。
ボンボリのような果実。下の写真はもう種が飛んで残っていないようです。
次の年から毎年9月ごろから12月にかけて何回も山に通いました。しかし例年、見つけられないか、見つけた時は種でした。
種の時は茎が10センチから40センチくらい伸びますのでとても分かりやすいのです。
どのようにして探すかというと、前年種が出ていた周辺を、軍手を手にはめて這いつくばるようにして花を探すのです。時には落葉をかき分けながら。
5年くらい通いましたが花を見つけられないので、近年はもう諦めていました。
そんな見つけにくい花を、今年9月末霧島山系で見せてもらって、やっとクロヤツシロランの花に出会えたのです。
来年はまた以前探し続けていた山で挑戦してみたいです。
花の実物を見たので今度は目に入るかもしれません。
最初に戻りますが、そっくりの花にアキザキヤツシロランという花があります。
その違いは、クロヤツシロランのほうが唇弁の両側に毛があるのだそうです。
最初の写真をもう1回下に出しますから見て下さい。
落葉の上に友達がシートを敷いてくれたので、それに伏して撮った写真です。何しろ茎は高さ3センチ位ですから。
舌の左右に毛があるからクロヤツシロランに間違いないようです。
光合成をしないで生きていくという選択をして、植物でありながらこのような姿に進化したのは、やはり「植物界のエイリアン!」