西都市から西米良に行く道は一ツ瀬川沿いの道です。
川に沿って道がくねくねと続いています。どこまでもどこまでも。
運転に疲れたので休憩しようかと思いますが、左側は川、右側は崖という所でなかなか車を止めるところがありません。人家もないところでした。
右側にやっと広いところがありましたので車を止めました。
外に出るとその山側は沢になっており、小さな川が道路下をくぐって一ツ瀬川に流れ込んでいます。
沢の左側に小さな道がありました。入り口はこんなでした。
ここを歩いて登ったのです。ただの沢だと思いました。
何か植物があるかもしれませんから。
しばらく進むと沢の左側に何か見えました。
「え、こんなところに家?」
車が入れそうな道路ではなかったのでびっくり。
だけどその小道自体、最近人が通ったような跡もなく草ぼうぼうですので、もう人は住んでいないはずです。
近づくとなやはり廃屋。
どのくらい前まで人が住んでいたのでしょう。
荒れ果てています。ドアがありません。
屋根にはこんなに苔が。
ここは沢のほとりで湿気も多いのでしょう。
裏に回ってみました。土砂が家の壁まで来ています。
裏の沢沿いはとてもいい空間でした。
大きな岩と樹木そして沢。
自然の美があり、立ち止まってしばらく眺めました。
もう少し広く写真を撮ればよかったのですが、これしかありません。
本当はもっと広々していて自然の感じがよかったのですが。
私はその廃屋を見ながら思いを馳せます。
この家にはどんな人が住んでいたのでしょうか。
多分この家の裏の、この景色がとても気に入っていたことでしょう。
そしてどんな事情があってこの家から離れることになったのでしょう。
この家で営まれていた家族の団欒が脳裏に浮かびます。
家族の笑い声が聞こえてきそうです。
私は廃屋が好きです。
もののあわれというか、切なさというか、諸行無常というか。
廃屋も、私のように突然訪ねてくる人がいて、そしてじっと見てくれる人がいたら喜ぶだろうと思うのです。
この家のことを思いながら、石ゴロゴロの裏の沢を歩いていると、ミツマタが何本もあり、花を咲かせていました。
大きな木も。
ミツマタは3つの又。
ミツマタの花は下を向いているので、そのきれいさがなかなか分かりませんが、上品な花です。
私がお金持ちなら、この家を買い取って、きれいに整備して住んでみたい・・・。
夢のまた夢。